2008年05月29日

高脂血症その1―総コレステロール値は基準になりません―

「検診でコレステロールが高いと言われました」
「コレステロールが高いのは体に良くないと思って気をつけています」

こういった会話を日常的によく耳にします。


こうした場面で使われるコレステロールとはいわゆる悪玉コレステロール(=LDLコレステロール)や善玉コレステロール(=HDL コレステロール)などをすべて合計した数値である血中の総コレステロールであることがほとんどだと思います。 


悪玉コレステロールは数値が高いと脳卒中や心筋梗塞などの合併症の危険が高まるため注意が必要ですが、善玉コレステロールは数値が高くても多くの場合問題なく、逆に低いと良くないことが明らかになっています。

(詳細はまた別の機会に述べたいと思います。)  

つまり単に「(総)コレステロールが高い」と言う場合悪玉コレステロールが高くて注意が必要なケースなのか、善玉コレステロールが高くて問題のないケースなのかわからず、合併症の危険度を推測するのは困難ですので、総コレステロールではなく悪玉コレステロールと善玉コレステロールのそれぞれの数値を知ることが大事なのです。 

ちなみに2007年の最新の動脈硬化性疾患診療ガイドラインでも総コレステロールは診断基準から外れ、LDLコレステロール=悪玉コレステロールを基準にするよう求めています。あわせて従来の高脂血症という名称では低HDLコレステロール血症(善玉が少ないので危険です)を表現出来ないことから脂質異常症という名称が用いられています。 

参考
脂質異常症の基準


高LDLコレステロール血症

LDLコレステロール≧140mg/dl

低HDLコレステロール血症
HDLコレステロール<40mg/dl

高トリグリセリド(中性脂肪)血症
トリグリセリド≧150mg/dl

  動脈硬化性疾患診療ガイドライン2007(日本動脈硬化学会)  

皆様はご自分の悪玉コレステロールの数値をご存じでしょうか?
詳細は医師にご相談下さい。

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