アレルギーについて

1)アレルギーとは

私たちの体には、体内に侵入する異物に対して自らを防御し、異物を排除しようとするメカニズム (免疫反応)が備わっています。
この免疫反応によって私たちは細菌やウィルスなどの病原体から身を守っているのです。
アレルギーとはこうした本来有益な免疫反応が何らかの原因で過剰に働いてしまい、人体に悪影響を与える状態であると考えるとわかり易いかもしれません。
例えば「花粉症」は、異物である花粉に対してアレルギー反応が起こる状態です。
原因となる花粉が体内に入るとそれを排除するためにくしゃみ(花粉を吹き飛ばす)や、鼻水、涙がでる(花粉を洗い流す)、鼻がつまる(花粉が入ってくるのを防ぐ)といった反応がおこります。
これらの反応が過剰におきて花粉症の患者さんを苦しめる症状となるというわけです。


2)アレルギーの病気はどんなものがある?

アレルギーの病気(=アレルギー疾患)には原因となる物質(=アレルゲン)の数だけ様々な種類があり、また疾患が起こる部位も様々です。
代表的なアレルギー疾患を以下にあげます。

1) 花粉症・アレルギー性鼻炎・結膜炎
2) 気管支喘息
3) アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・接触性皮膚炎
4) 食物アレルギー
5) 薬剤アレルギー


3) アレルギー疾患の人はどれくらいいる?

厚生労働省の調査では国民のおよそ3人に1人が何らかのアレルギー症状を持っているということです。
そしてアレルギー疾患(アレルギーの病気)の患者さんは増えています。
例えば過去20年で花粉症の患者さんは2倍以上に増えましたし、喘息の発症率も2倍近くに増加しました。

このようなアレルギー疾患の患者数の増加には、植林によってスギ花粉が増えたことや、マンションなどの気密性の高い住居でのカビやダニの増加、食品の添加物や欧米料理の摂取の増加などの環境因子、生活習慣の変化が大きな影響をおよぼしていると考えられているようです。

4)アレルギーと遺伝

例えば両親が喘息の子供が喘息になる確率は5倍高くなるというようにアレルギー疾患には遺伝的要因が大きく影響します。
しかし遺伝するのはアレルギー疾患そのものではなく、アレルギー疾患になりやすい体質(=アレルギー体質)です。
  また、アレルギー体質の人が全員アレルギーの病気を起こすわけではありません。
個人のもつアレルギー体質に、様々な要因が作用して病気が発症したり悪化したりするのです。

アレルギー体質自体を変えることは困難ですが、増悪させる要因が何かを知って対策を行うことができればアレルギーの病気は発症の予防、症状の改善が可能です。
そのためにもまずは正しい診断を受けましょう。

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