今年の夏は記録的な猛暑ですが、その中で熱中症だけでなく、食中毒の発生も増加しています。中でもO157による食中毒は7月以降発生数が急増し、過去5年で最多となっています。大阪でも集団発症や重症例の発症も報告されており、この暑さが続くと菌が繁殖しやすくなりますので感染が今後も続く恐れがあります。
そこでO157について簡単にまとめましたのでご参考下さい。
病原性大腸菌O157とは?
人間の腸内には多くの大腸菌がいますがそのほとんどは無害です。しかしながら腸管に感染して下痢や、胃腸炎(食中毒)を起こす大腸菌もあり、これらを病原性大腸菌と呼びます。
病原性大腸菌の中でも腸管出血性大腸菌と呼ばれるものは細胞のタンパク質の合成を止め、破壊してしまうベロ毒素というものを出して、溶血性尿毒症症候群 (HUS) や脳症(けいれんや意識障害)を起こします。O157は、この腸管出血性大腸菌の代表的な細菌です。
O157の感染力は非常に強く、通常の細菌性食中毒では100万個単位の細菌が体内に入らないと発症しませんが、O157は数100個程度の量で発症するといわれています。
感染経路は?
経口感染がほとんどで、菌に汚染された飲食物を摂取するか、患者の糞便で汚染されたものを口にすることが原因となります。感染の原因と推定された飲食物は井戸水、牛肉、牛レバ刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、サラダ、シカ肉、などさまざまです。ですからどんな食品も病原体に汚染される危険性があると考えて予防することが大切です。
予防には?
O157は熱に弱く、75℃で1分以上加熱すれば死滅します。したがって、食品は十分に加熱すれば安全に食べられます。また市販の消毒薬で殺菌できますので、手や調理器具、調理台の消毒に用いれば感染防止に有効です。
症状は?
O157感染症では全く症状のないものから、生命の危機に至るものまで様々な経過をとります。典型的には(感染の機会のあったもののうち約半数)、3〜5日の潜伏期の後、腹痛と頻回の水溶性下痢(水っぽい下痢)で発症します。さらに血便(血の混じった便)がみられるということもありますがこれが出血性大腸炎です。O157感染症が怖いのは一部の発症者でO157が出す ベロ毒素 が腎臓に障害を与え、脳や神経にも作用して、発病してから短期間で生命を奪うこともあるからです。(溶血性尿毒症症候群(HUS)、脳症)。子供と高齢者に起こりやすいので特に注意が必要です。下痢が続いたり、血便がでたら早めに医療機関を受診して下さい。
家族に感染者がでたら?
家庭での主な注意点は以下の通りです。
感染者の便を処理する時は使い捨て手袋を使い、処理後は
石けんで手をよく洗う。(オムツの交換時などに十分注意し
てください。感染者の便に触れた場合は、直ちに流水で
十分に手洗いを行い、逆性石けんまたは消毒用アルコールで
消毒を行ってください。)
感染者の便で汚れた衣服は、薄めた塩素系消毒薬に30分
以上つけ置きしてから、家族のものとは別に洗濯する。
熱湯で煮沸しても十分効果があります。
トイレの便座、便器の水洗の取っ手、ドアノブ、手すり等を逆性石けんや消毒用アルコールなどで消毒する。トイレのタオルは共用しない。
感染者本人は、調理や食事の前、排便後に十分に手を洗い、逆性石けんや消毒用アルコールで消毒する。
感染者が風呂を使用する場合はなるべく最後の順番にする。特に高齢者、乳幼児は感染者の後に入浴しないようにする。感染者はできるだけ浴槽につからず、シャワーのみにする。
風呂の水は毎日替える。バスタオルは共用しない。
なお、O157感染症は法定伝染病であり、O157感染症と診断されると医師から保健所に届けが出され、保健所から新たな感染の予防の指導が行われますので、詳しくはそれに従ってください。